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わくわく着物~着物の愉しみ~ 臥竜亭へようこそ!

わくわく着物~着物の愉しみ~ 臥竜亭へようこそ!

お茶会報告(3)

■□■2002.2.10月釜■□■

 今回は、私がお稽古に通う先生と、先生のお友達の先生(ややこしくてゴメン!)のお二人が合同のお茶会。お道具も水屋にはいる生徒達も、半々ずつ出し合う形となる。同じ流儀でお稽古しているといっても、やはり先生によって微妙に色々扱いが違い、最初はちょっと戸惑う。また、茶席は公共の会場をお借りしたが、『炉がきってあったらお茶はできるだろう』という考えの設計士さんだったらしく、お茶の動線というものが一切考えられていない造り。また異常に水屋が狭く、これは辛い! なんとなく波乱含みの予感…。

 今回の趣向は、「2月正月」。2月12日が旧正月に当たるということもあって、初釜のノリでおめでたく、という感じ。お道具は七宝、寿、鶴、松竹梅等々どれもこれもおめでたさ満載の上、二人の先生の持ち寄りなので、家元箱書きのオンパレード! 目がくらくらしそうなラインナップだ。

 ちょっと話が月釜からずれるが、道具って不思議。私の先生は、「ちょっとの事が違うから」と仰って、必ず釜を掛ける直前のお稽古では、当日使う道具で稽古を付けて下さる。一目見て「素敵!」と思うお道具ももちろんあるが、正直言って「小汚~い」と思う物もある。でもそれがどうだ! 茶碗にしろ水指にしろ、あるべきしつらいの中であるべき位置にあり、皆の目にさらされると、輝きを放ち始めるのだ! 明らかに稽古場で見た時とは、オーラが違う。ひっそりと休んでいた物が目覚めるというか…。やっぱり「道具」。愛して使ってなんぼなんだなぁ、と思う。

 先生お二人の釜ということもあるのか、定刻前からお客さんの出足が速く、またたくさん来ていただく。会場のキャパの問題があるので、早い目に来ていただいても、人数によっては一席お待ちいただくという場面も出てくる。『さばけるのかしら…』とやや不安になる。始まってみれば、案の定帰省ラッシュ時の新幹線のような込み具合のお席だ。水屋、てんてこまい。進行具合が訳分からなくなるほど。

 ところが、午前中の二席をこの状態で過ごしたが、二席目が終わった時点で待合いのお客様ゼロ。…なんで? 何度かお茶会のお手伝いはさせていただいたが、こんな事初めて。少々早い目のお昼を、全員そろっていただく。ほっと人心地。

 食べ終わったところで、ちょうどお客様が見えた。席を改め、迎え付けにたつが、十人ほど。なので、水屋からも数人ずつが交代で、お席に入れていただく。多くもなく、少なくもなく、ちょうどいい感じのお席になった。進行スピードもゆったりして、くつろげるお席だったと思う。お客さんに行くタイミングも難しい!

 残りの三席もこんな感じで、アットホームなお茶会であったかなと思う。良かった、良かった…。と安心するのは早かった! それは片づけ時に発覚。「あ~!」という大音声。『何事!?』と声の方を見れば、点前座の水指を持ったまま固まっている水屋当番が一人。「どうしたの?」と友達先生が声をかけると、「……これ…」と彼女は棚を指さす。そこには、水指の跡が傷になった棚が…。どうやら誰かが水指に水をつぐとき、引きずったらしい。『どっしぇ~』! 一同固まる。お金の事をいうのもナンだが、家元の好み物のお棚なので、数十万円ではきかないだろうし、どこにでも売っているというような物でもない。「どうしよう…」と青くなる。

「大丈夫。これくらいなら塗りに出せばいいでしょう。さ、片づけて!」と持ち主の友達先生の言葉で、皆我に返る。後味の悪いことになってしまった。

 後日、先生から棚を塗り師の元へ修理に出したという事をきいた。誰がやったかを詮索するようなことはなさらなかったが、「不注意は誰にでもある事だけど、これからは決して間違いのないように、お稽古の時から気を引き締めてね」と注意があった。本当にそうだ。肝に銘じよう。



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